屋根の重さが耐震性に影響する?軽い屋根材に葺き替えるメリット
屋根の葺き替えで屋根材を選ぶときのひとつの視点として、耐震性を考えることをおすすめします。とくに既存の屋根が和瓦であるなら、屋根材を変えるだけで耐震性を大きく向上することが可能です。
しかし、
「屋根材を変えるだけでどうして耐震性が上がるの?」
「具体的にどんな屋根材がおすすめなの?」
と疑問に思う人もいるでしょう。
そこで今回は、屋根材の重さと耐震性の関係、おすすめの屋根材などについて解説していきます。
屋根材の重さと耐震性の関係
実は屋根材の重さは、住宅の耐震性に大きく影響を与えます。
住宅の耐震性を上げるというと、基礎や土台、柱などの構造部分を頑丈にすればいいのでは、と考える人が多いのではないでしょうか。たしかにそういった構造を頑丈にすれば、耐震性は上がります。
しかし構造を頑丈にするよりも、屋根材を軽くするほうが、耐震性能を上げつつリフォームの幅が広がります。それは、屋根材を軽くすると、住宅の重心が下がるためです。
重心が高いとものは大きく揺れる
住宅に限らず、どんなものでも重心位置が高いほど、揺れる幅は大きくなり不安定さを増します。また、実際に揺れるときには、高い位置になるほど遠心力が大きく働き、重さの数倍以上の力が加わることも見落とせない影響です。
そのため住宅においては、屋根材を重いものから軽いものに変更すれば、重心が下がって耐震性が高くなるのです。
かつては屋根は重いほうがいいとされていた
かつては、屋根は重いほうがいいとされていた頃もありました。
それは、地震よりも台風の被害を抑えることが念頭に置かれていたためです。地震対策よりも台風対策が優先され、風で飛散することがないよう、瓦を土で抑える方法が採用されていました。
しかし近年大型の地震被害が相次いだことから、屋根は重くするのではなく、軽くすることが求められるようになりました。軽量な屋根材が多く流通するようになったことも、この動きを後押ししています。
建築基準法における屋根材の重さ
屋根材は、建築基準法において軽い屋根から重い屋根、非常に重い屋根まで3種類に分類されています。どのような内容か、一覧で確認してみましょう。
屋根材の種類 | 重量(1㎡あたり) | 建築基準法による分類 |
土葺き屋根 | 約60kg | 非常に重い |
瓦屋根・セメント瓦 | 約42kg | 重い屋根 |
コロニアル(スレート) | 約20kg | 軽い屋根 |
金属屋根 | 約5kg | 軽い屋根 |
このように、昔の土葺き屋根は1㎡あたり約60kgもの重量があります。これは、100㎡、30坪の一般的な広さの家で考えると、約6トンに相当します。軽自動車で換算すると、約7〜8台が家に乗っているのと同じ重さです。
対してスレート屋根は、同じ広さの家で考えると、約2トンの重さです。金属屋根に至っては、約600kgにしかならず、土葺き屋根の約10分の1の重さしかありません。
木造住宅においては、瓦屋根を金属屋根に変えるだけで、耐震性能が30%改善されるともいわれています。瓦屋根を葺き替えるときには、コロニアルや金属屋根への葺き替えを検討するのがおすすめです。
屋根材を軽くすることで得られるメリット
家を耐震リフォームするときに、屋根材を軽くする選択をすることで得られるメリットは、耐震性能が上がることだけではありません。
たとえば耐震性を診断してみたところ、壁量が不足しているとされることがあります。屋根を支えているのは壁や柱であるため、柱や壁の数は耐震性に大きく影響するのは容易に想像できるでしょう。
壁量の不足を指摘された場合には、窓を少なくして壁を補強するなどの方法をとることがあります。しかし、屋根を軽くすることを選択すれば、窓を壊すことなく耐震性を上げることが可能です。
また、もっとも軽い金属屋根に変更することで大幅に耐震性が上がるケースでは、開口部を大きくするなどリフォームの幅が広がることすら考えられるのです。
コロニアル(スレート)と金属屋根はどちらを選ぶか
建築基準法で軽い屋根とされるものには、コロニアル(スレート)と金属屋根がありますが、どちらを選ぶか迷う人もいるでしょう。両者を比較して一覧にしてみました。
比較内容 | コロニアル(スレート) | 金属屋根(ガルバリウム鋼板) |
耐久性 | 約20年 | 約30年 |
防水性 | スレート本体は防水性は低い | 高い |
防音性 | 雨音は響きにくい | スレートよりは響く |
耐火性 | 高い | 高い |
デザイン性 | カラーが豊富だが表面はほぼ平ら | 凹凸のある瓦タイプなど形状の種類が多い |
価格 | 4,500〜8,000円程度/㎡ | 6,000〜9,000円程度/㎡ |
このように、それぞれ特徴が異なります。
予算や求める性能によって、どちらがいいかを選ぶのがおすすめです。
瓦屋根を葺き替えるときには軽い屋根材に変更して耐震性を向上しよう
瓦屋根を葺き替えるときには、耐震性を向上させるために軽い屋根材を選ぶのがおすすめです。
軽い屋根材を選べば、耐震性能を上げると同時に、リフォームの幅も広がります。
軽い屋根材にはコロニアルと金属屋根がありますが、それぞれ特徴が異なるため、予算や求める性能によって選ぶようにしてくださいね。