寿命を迎えた外壁はカバー工法と張り替えのどちらを選ぶ?
外壁は定期的に塗装をすることで、ある程度劣化を防ぐことが可能です。しかし、いつかは寿命がやってきてしまいます。塗装ではカバーできなくなったときには、外壁の全面補修を考えなければなりません。
外壁の全面補修には、「カバー工法」と「張り替え」がありますが、
「施工方法の違いがよくわからない」
「どちらの工法がいいのか知りたい」
といった理由で迷っている人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、外壁のカバー工法と張り替えについて、それぞれの特徴や選び方を解説していきます。
外壁の種類と耐用年数
まずは、外壁の種類と耐用年数を確認しておきましょう。日本の住宅の外壁は、
- 窯業系サイディング
- 金属系サイディング
- モルタル
の3種類で約90%を占めていて、寿命はどれも30年程度です。10年周期での塗装メンテナンスをきちんと行っていればある程度寿命を延ばすことは可能です。反対にメンテナンスが悪ければ、寿命はもっと短くなります。
外壁のカバー工法のメリットデメリット
外壁のカバー工法は、既存の外壁はそのままで、上から重ね張りをする方法のことです。まずはカバー工法のメリットデメリットを抑えておきましょう。
外壁カバー工法のメリット
外壁カバー工法のメリットは、既存の外壁を取り外す必要がないため廃材が出ず、処分費が発生しないことです。取り外す時間も不要になるので工期が短くなり、結果的に工事費も安くなります。
既存の外壁と新しい外壁の二重構造となることから、断熱性と遮音性が増すこともカバー工法のメリットです。
外壁カバー工法のデメリット
外壁のカバー工法は既存の外壁の上に重ね張りをすることから、あくまで上に新しい壁材を張ってきれいになるだけであり、下地から新しくなるわけではありません。さらに今よりも重量が増すため、今よりも耐震性が落ちてしまいます。建物は重いほど揺れが大きくなるため、耐震性に影響するためです。
耐震性の低減を少しでも抑えるためには軽い外壁材を選ぶことになり、選択の幅が狭くなります。カバー工法においては、ほとんどのケースで軽量な金属系サイディングが選択されます。
外壁の張り替えの特徴とメリットデメリット
外壁の張り替えとは既存の外壁材を取り外し、まったく新しい外壁材を張り直すことです。張り替えのメリットデメリットもチェックしましょう。
外壁を張り替えるメリット
外壁を張り替えるメリットは、外壁が新築同様によみがえるので外壁の寿命がゼロにリセットされることです。張り替えでは既存の外壁を取り払うだけではなく、必要に応じて外壁の下地からやり直すことができるためです。
外壁材も好きなものを選んで施工できますが、耐震性を考えるのであればできるだけ軽いものを選ぶのがおすすめです。
外壁を張り替えるデメリット
外壁を張り替えるときには、既存の外壁を取り払う必要があり、工事が大がかりになることがデメリットです。大規模な工事となるため時間もかかり、取り除いた外壁の処分費用も発生します。そのため張り替えは、カバー工法よりも工事費が高くなります。
とくに既存外壁がモルタルの場合は、サイディング外壁のように簡単に取り外すことはできません。モルタルは塗り壁なので、外すというよりも壁をはがしていく必要があり、手間と時間がかかります。サイディング外壁よりも、さらに割高になると考えておきましょう。
外壁のカバー工法と張り替えの選び方
それでは外壁の寿命が来たときに、カバー工法と張り替えのどちらを選ぶかは、内部の劣化状況によって判断します。
カバー工法では既存の外壁に重ねて張っていくため、内部の状態がいいことが前提です。そのため下地に問題がなければ、カバー工法で施工したほうがコスト的に安くすみます。
しかし、もし雨漏りしているような状態で内部の構造自体が傷んでしまっているなら、根本的にやり直さないと結果的に長持ちしません。重ね張りして表面だけきれいにしても数年で躯体がだめになってしまえば、結局すぐに張り替え工事を行うことになってしまいます。
カバー工法は家自体の劣化を回復させるものではありません。外壁の補修を考えるときには、内部の劣化状況をチェックしてから判断するようにしましょう。
外壁の寿命が気になるときには専門業者に調査と見積もりを依頼しよう
外壁の寿命が気になるときには、既存外壁の内部構造に問題がないのかを調べる必要があります。素人では判断がむずかしいので、「そろそろ寿命かな」と思ったときには専門の業者に調査を依頼するのがおすすめです。
コストを安く抑えたいならカバー工法を希望していることを伝え、施工が可能か確認するといいでしょう。外壁の状況や、カバー工法と張り替えのどちらがおすすめかをていねいに説明してくれるかで、業者の善し悪しもわかります。工事を依頼するときには、納得のいく説明をしてくれる業者を選ぶようにしてくださいね。